「僕の中で花鳥画は、人物画に近いですね。花も人も、生きるものを見るという尺度は同じ」。日本画家の長谷川喜久さん。加納高校美術科に在学中、初めて日本画に触れ、鉱石などを原料とする岩絵具の質感に強く惹かれた。30年余が経つ今も、岩絵具を膠(にかわ)で溶く日々を続ける。幾度も水で洗い、不純物を取り除いた岩絵具は鮮やかな色彩を放つ。また、蒐集(しゅうしゅう)した650を超える墨には一つとして同じ色はなく、奥が深い。
「椿山茶花図」はいわゆる紅白梅図を自身なりに描いてみたいと挑んだ意欲作。白い椿と紅い山茶花(さざんか)。葉陰に鴬(うぐいす)。大胆な構図とメタリック顔料の冴えわたる青、筆勢を語る墨の滲み。日本の伝統美が、新たな息吹を宿してそこに顕れた。
撮影協力/画廊 光芳堂
個展
2016年4月6日(水)~12日(火)
松阪屋名古屋店にて
「長谷川喜久個展」開催
Photo
- 日本画家 長谷川 喜久