中学生で絵筆を握り始めた飯沼由貴さん。加納高校美術科を卒業後、愛知県立芸術大学で油絵を専攻する。ある日、出掛けた牧場で群れをなす羊に一斉に凝視され、恐怖を感じた。それは人と話すことや感情を表現することが苦手な自分が、人前で感じる緊張や怖さと似ていた。その経験から、卒業制作にこちらを凝視する何十頭もの羊を描き、好評を得る。動物やその群れの中に、自分や誰かの存在、心を描くこと。「やっと私なりのひとつのスタイルを見つけたと思いました」。
表情も毛色も異なるフクロウの群れに社会が、ラッコを取り巻く分身にまとまらない思考が、巣の中で眠るリスに安息が投影される。彼女が描く動物たちの中に、あなたは何を見るだろうか。
展示
2017年4月7日(金)~16日(日)にアートギャラリー水無月にて個展「たくさんのひとり」開催