無造作に積み上げられた水槽の中から、じっとこちらを見つめる鯰。下の水槽には餌となるアメリカザリガニが息を潜めている。
描いたのは、市内に自宅兼アトリエを構える林真さん。20歳で日本画を描き始め24年が経つ。「岩絵具は膠や水、紙の違いでも表情が変わる。やってもやっても答えがない、深い魅力があります」。描いている時が一番自分でいられる。そして、作品はその時の自分自身の状態が素直に表れる鏡のようだ、と思う。
水槽のガラスに映るいくつもの鯰の顔に、命の歓びや哀しみ、希望を込める。「雑多に飼われる痛々しさ、それでも生きていくこと」。自身が生活の中で感じる不安や憂い、些細な違和感を、見事なまでの筆致で描く。
撮影協力/画廊 凛(関市西本郷通3-5-28)
展示
2017年12月19日(火)~25日(月)に福岡三越美術画廊にて
「いとしきものたちへ 林真日本画展」開催