鶏ちゃんを求めて、いざ行かん!
名店、迷店、数あるならば、鶏ちゃんの味もさまざま哉。
加茂郡東白川村 白草
緑深い山々と白川の渓流を背に建つ小さな焼肉屋。昭和44年に夫と二人で店を始めた安江冨貴子さんは80歳を数える今も現役。娘夫婦とともに仕込みや接客をてきぱきこなす。
鶏ちゃんは肉が引き締まった親鶏を使うため、丁寧に皮や筋を取り除く「筋引き」が不可欠だ。時に3人で数時間をかけてその作業に没頭する。
自家製の味噌ダレをまぶした鶏ちゃんが、年季の入った鉄板の上でこんがり焼ける。立ち上る味噌の香りを合図に我先にと箸が集まる。醤油に生姜やにんにくを加えた2種類のタレを付けて頬張れば、遠路はるばるここを訪ねる理由に合点がいくことだろう。
Photo
- けいちゃん 1人前 500円(野菜付)
- 左から 安江冨貴子さん 中島芳香さん、中島豊彦さん
- 加茂郡東白川村 白草 外観
加茂郡東白川村 白草
- 加茂郡東白川村神土424-3
- 11時~21時(入店は20時まで) 水曜定休
- TEL.0574-78-2164
- Pあり
郡上市白鳥町 まるや食堂
店には大きな看板も暖簾もない。目印は隣接する牛道(うしみち)小学校。店主の鷲見憲弥さんは「冬場のスキー客もうちに気付かず、ほぼ素通り」と笑う。名古屋の和食店で修業後、30年以上前に母が開いた食堂を継いだ。「最初は戸惑ったけど、お客さんも近所の人も、顔なじみ。やっぱり地元はいい」。
鶏ちゃんは若鶏と通称「ひね鶏」と呼ぶ親鶏の両方を扱う。郡上の地味噌、酒、みりん、にんにく、唐辛子で作った自家製ダレに肉を漬け込み、一度冷凍することで味を染み込ませる。
ふっくらとした若鶏と、噛むほどに旨みが滲み出る通好みのひね鶏。野暮な講釈は言わず、双方食してこそ尚良しである。
Photo
- 若鶏 1人前 700円 ひね鶏 1人前 700円 焼き野菜 300円
- 左から 鷲見ひでこさん 鷲見憲弥さん、湯下正也さん
郡上市白鳥町 まるや食堂
- 郡上市白鳥町中西489-1
- 17時~22時半頃 水曜定休
- TEL.0575-84-1603
- P3台
岐阜市長良 古風人 長良
明治時代に建てられた古民家を改装した趣のある店構え。扉をくぐると開放的な吹き抜けが広がり、天井に黒々とした梁が横たわる。饗されるのは岐阜の食材にこだわり、料理人が腕を振るう創作和食の数々。
鶏ちゃんは、日替わりの献立として登場していたものを「鶏ちゃん合衆国」参加を機に一新。下呂市にある村山チキンセンターに協力を仰ぎ、郡上の地味噌ベースのややあっさりしたタレに変更。若鶏のモモとムネ以外に、通常は市場に出回らない砂肝とハラミも加えた。
鶏ちゃんを食す文化が少ない岐阜市内でこれほど気概あふれる鶏ちゃんが堪能できるとは、実にうれしい限りだ。
Photo
- 鶏ちゃんの砂肝&ハラミ キャベツ炒め 2人前 980円
- 店長の中島勇さん
岐阜市長良 古風人 長良
- 岐阜市長良福光2399
- 11時半~14時、17時半~23時 (金・土・祝前日は24時まで)水曜定休
- TEL.058-233-9388
- P15台