宿命の一冊と出会える予感 本屋さんって面白い!

正文館書店 可児広見店
書店員が作る本棚に
「面白い!」が詰まっている
書棚を巡回して、予想外の本と出会える本屋は、ワクワク感に満ちている。18万冊をそろえる『正文館書店可児広見店』は、15人の書店員が丁寧に作る陳列コーナーが並び、あちこちの棚に目を奪われる。
高い天井から17のジャンル札が下がる店内。「曜日別新刊コーナー」や「あるあるフェア」、「大学講義関連本フェア」など、随所で企画が組まれている。出版社別ではなく作家ごとに集められた文庫コーナーや、目線の高さで表紙を一列に並べた面陳、イラスト入りの手書きポップなど、棚は工夫にあふれる。「この本、面白いんですよ〜」と、話しかけられているようだ。
「本の並べ方はすべてそのジャンルの担当者に一任しています」と佐々木久佳店長。各自が在庫システムで本の動きを把握し、セレクトから陳列、補充、発注や返品までを一手に行う。書店員の業務で一番重要なのが情報収集。売上ランキングや旬の話題、社会情勢、行事、接客中に集める口コミなど、担当する本に合わせて必要な情報を集める。そして試行錯誤しながら、日々、棚の内容を練り上げる。「個性をどんどん取り入れたい。楽しんで作った棚は、やっぱり人を惹き付けますよね」と佐々木店長。15人の「面白い!」が詰まった本屋には、目的を持たずに訪れても買いたい一冊を見つけてしまう、素敵な偶然が待つ。
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- 書店員の一日はなかなか忙しい。毎朝200~400点の雑誌と曜日別新刊 コーナーの本を入れ替えた後、入荷 した本をシステムに登録する。レジ打ちや接客をしながら、商品の補充や担当ジャンルの管理、ポップ作りなどを行うそうだ
- 正文館書店 可児広見店1
- 正文館書店 可児広見店2
- 正文館書店 可児広見店3
- 正文館書店 可児広見店4
- 正文館書店 可児広見店5
- 正文館書店 可児広見店6
- イベントもたくさん開催してます♪
正文館書店 可児広見店
- 可児市広見大橋2112-1
- 営業時間 10:00~22:00
- 年中無休(元日を除く)
- TEL.0574-63-4946
- P42台
- http://www.shobunkanshoten.co.jp/


古本 徒然舎
ゆっくり時が流れる店内で
気が付けば本に夢中に
カチカチカチカチ。5千冊の古本に囲まれた『徒然舎』で、柱時計が規則正しく時を刻む。かれこれ1時間も本を読みふける男性、赤ちゃんをフロアに寝かせて雑誌を吟味する主婦の姿がある。「本って押しつけがましくなくて、自分のペースで付き合えるのが好き」と店主の廣瀬由布さんはほほ笑む。なるほど、店には「好きに過ごしていいよ」というムードが漂う。
食、建築、美術、小説、歴史、冒険…。扱うジャンルは幅広い。客は中年男性やお年寄り、若者に主婦、高校生。生粋の古本好きから初心者まで。出版社勤務を経験した廣瀬さんは、入れ替わりの早い新刊書ではなく、穏やかな気分になれるもの、古本だから出会えるちょっと面白いものを選ぶ。背丈や幅をあえて不ぞろいにして、現代の本の間に昔の本をそっと忍ばせる。すると客の手がいつもは読まない本に伸びる。パラパラ。「こんな本あるんだ。古本屋って、本って楽しい!」。小さな町の古本屋で、いつの間にか本の魅力にはまる人、増加中。
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- 「古本は一点もの」と廣瀬さん。持ち主の性格や読まれ方を想像しながら本を手入れする時間も楽しいと話す
- 古本 徒然舎1
- 古本 徒然舎2
- 牛のぬいぐるみが出迎える。客が自然に靴を脱ぎ始めたことから、スリッパに履き替えるスタイルが定着した
- 古本 徒然舎3
古本 徒然舎
- 岐阜市殿町1-21-6
- 営業時間 11:00~19:00
- 日・月・火曜(日・月曜は営業日あり)
- TEL.058-337-0444
- P1台
- http://tsurezuresha.net/


ワンダーランド (丸圭書店)
全力を注いで作られた
60〜80年代の本の世界へ
美濃太田駅の近くに、切り株やトルソーが店先に並ぶ不思議な書店がある。戦後から続く『ワンダーランド』だ。「ここは毎日、横尾忠則フェアやよ」とにっこり話すのは、彼の“ミーハー”と称する2代目の渡辺修さん。店の中央には、横尾氏の画集などが100冊以上。そして壁際の棚には、同氏の影響で集めた寺山修二や空海などのほか、主に60~80年代の音楽や美術、詩、暮らしにまつわる本などが続く。「娯楽が本とレコードの時代だったから、実力のある人が本の世界にいたんだよ。全力が注がれた作品の混沌とした空気がいいなぁ」。
棚には新刊も古書も雑誌も混在。大きくジャンルに分けられた本たちは、隣同士がまるで共鳴するかのように、何となく関連する。一冊が気になるとつい隣も、その隣も、と止められない。「40年前からこの並べ方。見やすいからね」。やりたいことをとことん突き詰めた文化を、全身で味わってきた渡辺さん。そのアンテナに引っかかった本が、現代人の感興をそそる。
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- 渡辺さんの母さなゑさんが店番をすることも多い。不定期でミュージシャンを招き、「みのかも本屋ライブ」も開催
- ワンダーランド(丸圭書店)1
- 店のブックカバーは、何と横尾氏のデザイン。突然の電話依頼にも関わらず、快く引き受けてくれたそう
- ワンダーランド(丸圭書店)2
ワンダーランド(丸圭書店)
- 美濃加茂市太田町2693-10
- 営業時間 朝~夕方
- 不定休
- TEL.0574-25-2281
- Pあり(向かいのまんば商店街組合駐車場)
