なうふ現代
金華山の山裾に、桜が植わる建物がある。地下へ潜るように階段を下ると赤い扉が現れた。「少し入りにくいから、落ち着いてアートに浸れるよ」。オーナーの武井英男さんは穏やかに話す。ここでは毎月、鋭い感性で現代アートの企画展を開催。無機質な空間は、石の彫刻が整列する小宇宙になったり、ビビッドなオブジェに埋め尽くされたり、変幻自在だ。
25年間、武井さんはデザイン事務所を営んだ。手書きのレイアウトに写植やフィルム写真。人の手を介して時間をかけてものを作った時代だった。「じっくり考え抜かれたものはいいね。美術は特に、裏側に何かある。例えばルドンもエロティックで、モノクロだけど色を感じるな」。そして作品の魅力と作家の人間性は共通すると言う。そのため必ず、アトリエを訪れ、人となりも感じる。
「芸術って生きるのに必要だと思うんだよね。ご飯を食べるみたいに」。作家が自身から捻り出したアートと過ごす日常はどんなものだろうか。「“家で作品が育ってる”ってお客さんに言われてうれしかったな。興味を持ったら何回も見に来てほしい。日によってなぜか見え方が違うから、本当に楽しいよ」。慌しく過ぎていく現代社会。その流れとは違った空気を纏うアートたちは、日常を色濃く、深いものにしてくれるだろう。
- オーナーの武井英男さん
- 国島征一『無題』/2011年「積層する」、「包む」、「重ねる」をテーマにした彫刻と絵画
- なうふ現代
オープニングパーティーに行ってみよう
ギャラリーではオープニングパーティーやアートトークを開くところも多い。『なうふ現代』では必ず作家を囲み、武井さん夫妻の手料理や酒を楽しみながら企画展初日を祝う。「作家の言葉を直接聞いて、人となりや内面を見ながら作品を味わってほしい」と武井さん。せっかくの機会、ぜひ作家に話しかけて美術談義をしてみよう。
企画展
- ◆「国島征二展」 2013年9/29まで
- ◆「川井昭夫展」 2013年10/12~11/10
- ◆「三木陽子展」 2013年11/23~12/22
Data
- 岐阜市夕陽丘14
- TEL.058-264-2920
- 営業時間:11:00~18:00
- 休廊日:月・火曜日
- Pあり
ギャラリー いまじん
「素敵でしょ。深くて吸い込まれそう」。『いまじん』の宇佐美直子さんは思いのまま心を込めて作品を解説する。
開廊は5年前。服飾店の経営や販売の仕事を経験したが、「お金じゃない、気持ちを伝えたい」と思い至る。「本物を見なさい。自分の目を信じなさい」という恩師である画家・横地洋司氏の言葉を胸に、続けてきた美術館・ギャラリー巡りを仕事に繋げた。
必死に創作するが、世に出ない作家の何と多いことか。発掘して育てるべく、ただ「好きだなぁ」と思う作家の企画展を開く。スケッチを並べて物語を伝え、作品が売れると嫁に出した気分になる。「この仕事、本当に幸せ」。アートは背伸びしなくていい、素直に感じればいい。ここに来れば、きっと心が自由になる。
- 写真は日本画 『足立香織展』
- 土川紫乃『無題』/2007年 絞り袋にアクリル絵の具を入れて、不規則な網目を無心で描いた作品
- オーナーの宇佐美直子さん
- ギャラリー いまじん
企画展
- ◆「近藤幸 木版画展」 2013年10/13~27
Data
- 岐阜市金園町4 イマヅ洋服店2F
- TEL.058-265-6790
- 営業時間:11:00~18:00
- 休廊日:火曜日
- P4台
- http://blogs.yahoo.co.jp/gallerycafe_imagine
特集目次
- 美術館&ギャラリーめぐり 岐阜でアート三昧の秋を。①[岐阜県美術館①]
- 美術館&ギャラリーめぐり 岐阜でアート三昧の秋を。②[岐阜県美術館②]
- 美術館&ギャラリーめぐり 岐阜でアート三昧の秋を。③[アートトーク/岐阜現代美術館]
- 美術館&ギャラリーめぐり 岐阜でアート三昧の秋を。④
[加藤栄三・東一記念美術館/三甲美術館/極小美術館] - 美術館&ギャラリーめぐり 岐阜でアート三昧の秋を。⑤[柳ケ瀬画廊/ART GALLERY 水無月]
- 美術館&ギャラリーめぐり 岐阜でアート三昧の秋を。⑥[なうふ現代/ギャラリー いまじん]
- 美術館&ギャラリーめぐり 岐阜でアート三昧の秋を。⑦
[GALLERY CAPTION/美術コレクターKONDO先生のアートの自由な遊び方]
先日、ルドン展に出かけました。
展示はもちろんのこと、ルドンのお兄さんが
作曲したというポルカが忘れられません。
心地のよい音色。。
近くに居た職員さんに、学芸員の知人の方が
特別に演奏された音源だとおききしました。
期間内に、ポルカの特別演奏会があればと心から思います!
Posted at 2013.09.26 10:59 AM by my-n