岐阜パン物語。

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ゆっくり、優しく、ていねいに
森のパン屋さんに2年目の春

パン工房というより山小屋。南面の大きな窓から恵那山麓の深い森が見渡せる。目の前の斜面に立つ2本のヤマザクラが花をつける季節も近い。

渡邉俊介さん(35)・由三子さん(31)夫婦が2年前の春にオープンさせた。名古屋のパン工房で働いていた2人が「結婚して一緒にパン屋をやろう」と中津川市に移住、4年半で夢が実った。

俊介さんは三重県御浜町の出身。大学卒業後、スーパーに勤めて、生産者と消費者が直に結びつく仕組みの大切さを知る。そんな時、パンとの出会いがあり、名古屋の製菓学校でパンづくりを学んだ後、国内産小麦を使うパン工房で修業した。

パンづくりの考え方は徹底している。小麦粉は北海道産や岩手産。バターや牛乳、野菜、果物なども国内産、地元産を選ぶ。酵母は自家培養の自然酵母を多く使う。「パンをつくるというより、酵母を育てるという感覚かな」と俊介さん。「ゆっくり、優しく、ていねいに、できるパンをイメージして」厨房に立つ。

自慢のパンは北海道産ライ麦全粒粉を使ったカンパーニュや、しっとりと柔らかい食パンなどの食事パン。故郷の御浜町直送のミカンなど季節の果物が入ったデニッシュも人気だ。

阿木は由三子さんの生まれ故郷。店は家具作家の父が4年間かけてつくったログハウスで、併設するカフェに据えられたナラのテーブルも父の作品だ。渡邉夫妻のパンを買いに来た客は、由三子さんが淹れたプレス式コーヒーを楽しみながら、窓一杯の森の緑に目を見張る。

キュルティヴァトゥールは『耕す人』のフランス語。「いつかは自分で栽培した小麦を使ったパンを石窯で焼きたい」と俊介さんの夢は広がる。

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パン、食材、カフェ Cultivateur [キュルティヴァトゥール]

  • 中津川市阿木2664-270 (恵那I.Cより車で約15分)
  • 10時~19時(売り切れ次第終了)
  • 水・木曜日定休(臨時休業あり)
  • TEL.0573-63-3707 Pあり
  • http://www.cultivateur.jp/

熟練の腕から生まれた
懐かしい郡上のメロンパン

郡上八幡でもとりわけ古い家並みが川沿いに並ぶ尾崎地区。看板のないパン屋がある。少しだけ開いた入口からは、年季の入った木製ショーケースがひとつ、ちらりと見えるだけだ。「看板を出すなんて、恥ずかしくて」と店主の加藤昌美さん(87)。昭和23年からパンを焼き続け、今も現役。製造から配達まで、妻と娘の3人でこなす。

加藤さんは愛知県瀬戸市の生まれ。戦地から復員後、配給の小麦粉でパンを焼いたのがパンづくりとの出会いだ。一緒に兵隊に行っていた友人から技術を習い、この道に入った。

初めの数年は瀬戸市で開業、のち妻の故郷である郡上八幡へ。「風光明媚で水もおいしいと家内に言われてね。その通りでした」と笑う。

パンの製造日は1週間のうち月、水、金の3日間。焼き上がりの時間を知っている常連客がやってきて、世間話をしながらお気に入りのパンを買っていく。人気はやはりメロンパン。今風のパリッとしたものではなく、柔らかな優しい味だ。しかし、加藤さんの自信作は、実は食パン。「気泡と気泡の間の膜が薄いほど口あたりがよくなるんです」。イーストフードと酒ダネの酵母を併用して作られるこの店のパンは、不自然なとがった味がなく、雪のように滑らかで軽い。

一日中立ち仕事、夜も遅くまで仕込みが続く。大変な仕事だが「おいしい」と言って買いに来てくれる客がいる限り、加藤さんはパンを焼き続けたいと言う。「配達の途中に、うちのパンを使ってくれている店のモーニングを食べるのが楽しみ」と控え目に微笑む加藤さん。もうすぐ米寿を迎える。

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平和パン [へいわパン]

  • 郡上市八幡町尾崎町418 (郡上I.Cより車で約5分)
  • 7時~22時
  • 日曜日定休(不定休あり)
  • TEL.0575-65-2769

※ただいま臨時休業中(2011年4月11日現在)
お出かけの際はTELにてご確認ください。


絶品米粉ロールを育てたのは
卯建の町の「米屋の女房」

卯建を上げた見事な瓦屋根の町家が立ち並ぶ美濃の古い町並みの南端。麻布に店の名を染めたのれんを分けてガラス戸を開けると、甘いパンの匂いに迎えられる。「いらっしゃいませー」。店主の河合あゆみさん(38)の元気な声が厨房から響く。午後2時。店の真ん中に置かれた平台の上のパンは、もう残り少ない。

傍らに丸テーブルを3脚置いたこじんまりしたカフェ。お年寄り夫婦と観光客らしい中年女性3人が、パンとコーヒーを楽しんでいる。1組は町の人なのか、時々、顔を出す河合さんとディープな会話を交わして和気あいあい。

開店は平成15年夏。4代続く米屋にお嫁入りした河合さんが隣の空き家を利用して始めた。「米屋の女房」の自慢の品は当然、米粉パン。中でも米粉ロールは、バターやタマゴを使い、米粉独特の歯ごたえを生かした自信作。「小麦粉と違って米粉パンは、デリケートでごまかしがきかないんですね。うまくできると、その日は一日中ハッピー」と思い入れは深い。

パンづくりは、20歳の頃から市内の家庭の主婦が開いていたパン教室で身につけた。米粉パンとの出会いは、旅先のベトナムタウンで。「パンってこんなにおいしいんだ」と驚いた。米屋の仕事を手伝いながら、自分で焼いたパンを客にサービスで渡して喜ばれたこともあった。

2児の母。日・月曜日は休業にして、家族とともに過ごす。「ちゃんとした修業をしていないから、自信なんて…。でも、おいしいものを食べてもらいたい主婦や母親の気持ちはよく分かる」と河合さん。オーブンや冷蔵庫も家庭用。パンにもおふくろの味が似合うようだ。

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美濃町家 Mam’s [マムズ]

  • 美濃市加治屋町1992-1 (うだつの上がる町並みの南端)
  • 10時半~17時頃 (売り切れ次第終了)
  • 日・月曜日定休
  • TEL.0575-35-0073 市営Pあり

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