木製建具 丹羽木工所

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木製建具 丹羽木工所


戸、障子、襖などの建具は、かつては和風建築の花だった。
建具職人の腕の見せ所であり、施主の自慢の種であった。
そのプライドを受け継いだ丹羽さんの建具は工芸品である。

青葉の山に向かう、畑に囲まれた小道。道沿いの平屋建ての建物から、板を切る電動ノコギリの軽やかな音が聞こえてくる。開け放たれた窓から、木曽桧の一枚板に丸ノコを当てている丹羽義朗さん(65)が見えた。

「農家の鏡戸(かがみど)の材料やね。尺5の板を8枚合わせて、4枚の板戸になる」

かたわらにある別の材料は、すでに板を組むホゾの加工が済んでいる。後は部材を組むだけのように見える。

「いや、この仕事はまだこれからやね。さあ、完成はいつになるやろか」

丹羽さんの建具には、敷桟(しきざん)に框(かまち)とは別の材料が使ってある。框が敷居との摩擦で磨り減って狂わないように、桜などの硬い材料を使う。建具が和風建築の花だった昔は、ちゃんとした建具は皆そうだった。丹羽さんは手間のかかる伝統技法を今も徹底的に追求する。

デザインへの執着も半端ではない。埋木(うめき)や枡組(ますぐみ)、組子(くみこ)といった伝統の木工技術を駆使した高級建具は、住宅の一部というより美術工芸品。

「建具は家の衣装やね。建具によって部屋の雰囲気は全然違うからね」

木製建具を取り巻く環境は激変した。金属建具の普及、洋風化によるドアの進出。建具職人への仕事の流れも、大きく変わった。昔は家を建てる施主が直に建具職に注文した。建具は床の間と並ぶ家の見せ所だったからだ。最近の住宅建築はハウスメーカーや工務店が取り仕切り、建具の仕事はその下請けになってしまった。仕事も収入も減るばかり。そんな中にあっても、丹羽さんは和風木製建具にこだわる。受ける仕事の多くが施主個人から来るものだ。

丹羽さんの職人魂は、50年にわたって厳しい自己研鑽を自らに強いた。平成14年には高度な技術が認められ、国から現代の名工に選ばれた。優れた品質だけでなく、デザイン性も高い評価を受け、各地でさまざまな賞にも輝いた。

仕事の合間をみて衝立や机にもチャレンジ、さらに腕を磨く。3年前に全国伝統建具技術保存会の会員になった。文化財の修復工事などに参加しながら、昔の建具技術を学ぼうというのだ。

「昔は出入りの職人に仕事を任せたので、今よりずっといい仕事がしてあるね。最近の仕事は金銭と納期が最優先、どうしても限界があるね」

自宅の敷地の一角にある工房は15坪。近くの指物師の許で7年間の修業を終えて、22歳で独立した時に建てた。使い込まれた大きな床台を中心に、手入れの行き届いた丸ノコ盤、ホゾ取機、カマチ盤などが置かれている。50年前にそろえた機械が今も現役。

丹羽さんは朝の5時半には、もう工房にいる。東の窓から射し込んでくる朝日を背にして床台の前に座ると、コーヒーを片手に新聞を読む。仕事のアイデアが次から次へと湧いてくるそうだ。

Photo

丹羽木工所

  • 所在地:岐阜市岩田西3-106
  • 電 話:058-243-1268
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