鵜飼観覧船船員 高橋由香子さん

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男の世界に飛び込んで13年
長良川に生きる女船頭さん

船頭の集合時間は、午後4時半。傾いていく西日を受けて船を整え、竿を確かめる。客を乗せ、川面へ漕ぎ出すと夕風が心地よい。長い髪を束ねて、豆絞りの鉢巻をした高橋さん。今日は前乗りで竿を持つ。艫にはベテランの男性が乗っているから、舵はお任せだ。

生まれも育ちも金華山麓の古い町並み。夏は山に登り、長良川を泳いで横断する男の子顔負けの元気な少女だった。13年前、岐阜市の広報誌で「鵜飼観覧船船員募集(女性可)」のお知らせを見た。子どもの頃遊んだ夏の長良川が蘇る。

「やってみようかなって、即決」。

長良川鵜飼いの観覧船の船頭は、約120人。女性は高橋さんを含めて3人だ。男の世界に飛び込んできただけに元気者ぞろい。身長163センチの高橋さんは、学生時代に器械体操やバドミントンをやったスポーツマン、今も子ども達に交じって空手に行く。

竿は3年、櫓は3月と言われる。番外(見習い)で120日以上船に乗って、本番試験を受ける。男の倍の時間をかけたが、遂に一人前の船頭と認められた。体力、馬力よりも川を知ることが船頭の条件。その日の水量を見、川底を知って、風を読む。空が好き、川が好きでないと務まらない。

舳先に立って水底に2尋半の竿を差す。竿をたぐりながら艫に向かって移動していくと、船はゆるゆると動きだす。竿を持つ手が水面に触れる寸前にグイと力を入れると、船足は一気に伸びて、川面を滑るように前へ行く。腕のいい船頭は、最後の伸びがひと味もふた味も違う。船足を遠くから見ても、誰が乗っているかが分かるという。

「ブランコを揺すっていると、だんだん揺れが大きくなって重力から自由になったように感じますね。

竿がうまくいった時の快感は、大好きなブランコにそっくり」

去年1年間、休まずに船に乗ったのは、高橋さんだけだった。自他ともに認める健康オタク。毎日、体重、骨密度、体脂肪、筋肉量を計って、仕事に備える。夫は「気をつけて」と送り出してくれるが、息子は「何でそこまでやるの。そろそろやめて家におったら」とあきれ顔。

船に飲食物を積むのも船頭の仕事。20本入りのビールケースを一度に持てなくなったら、辞めどきというのがこの世界の掟。高橋さんの定年は、いつのことやら。

40年以上も長良川を見つめている高橋さん。「子どもの頃遊んだ長良川は、ミズゴケが一杯付いた石がごろごろしていて、カニやエビがいました。今はすっかり砂地になって…。あの頃の感触が懐かしいですね」

Photo

─ 人生を支える宝もの─

長良川

岐阜公園の近くに生まれ、幼い頃からいつも長良川とともにあった。高橋さんにとって川は幼馴染、自分を包み込んでくれる母、生きる術を教えてくれる父である。

Profile

高橋由香子 たかはしゆかこ
鵜飼観覧船船員。1963年岐阜市生まれ。1997年、岐阜市が募集した鵜飼観覧船の船員に応募し、以来13年間、女性船頭として活躍中。

岐阜市鵜飼観覧船事務所

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