金鯱山 [きんこざん]

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60年間、味を守り続けてきた柳ケ瀬商店街の洋食店 いつの時代も人々を幸せにする洋食
金鯱山  [きんこざん]

柳ケ瀬商店街の一角。戸の上には瓦屋根が突出し、壁にはレンガが埋め込まれている。天守閣のようなこの店は、82歳の堀江国光さん、富子さん夫妻が60年間、守ってきた洋食店『金鯱山』だ。「しっかり食べて体力つけないかんよ」。皿を運びながら、富子さんは笑顔で客に声をかける。

創業は昭和27年、国光さんが22歳の頃だ。柳ケ瀬が最も華やかな時代。キャバレーが立ち並び、夜7時になると会社員が怒涛のごとく押し寄せた。歩道はすれ違うのも苦労するほど、混雑した。「店に入れん人ばっかり。喫茶店で待ってもらって、呼びに行ったなぁ」。人々が胸を焦がしたメニュー。それは、グツグツと音を立てるデミグラスソースのかかった、柔らかい牛ヒレ肉の陶板焼や、ズワイ蟹の身が詰まったほくほくのカニクリームコロッケ。一つ一つには全く隙がなく、客はただ、目の前に運ばれてきた料理を頬張り、幸せを噛みしめる。

国光さんは中学を卒業後、義兄が営む名古屋の洋食店『金鯱山』を手伝い始めた。店の名前は相撲取りだった義兄のしこ名。「技術は遠くから先輩を見て覚えるんや。わざわざ教えてくれへん。人に教えてもらったら美味しいものはできんしな」。国光さんの瞳が時折鋭く光る。「仕込みでいい仕事をしないかん」。例えば陶板焼。重要なのはソースの仕込みという。油とメリケン粉を弱火で何時間もゆっくりと炒める。失敗したら初めからやり直し。怒鳴る国光さんに、多くの弟子が辞めていった。「変わらない味を守るのが一番大事やもんね」とほほえむ富子さんは、いつしか味見の担当に。「喧嘩するけど仲いいな」。「そうやね」。二人三脚で歩んだ道は気が付くと半世紀を超えた。

自ら切り開いて成すエネルギー、ただ手を抜かずに続ける辛抱強さ、曲げない厳しさ。昭和の日本、柳ケ瀬の隆盛を担った人々の佇まいが、今もこの店にある。今日も客のお腹と心をすっかり満足させて。


Photo


金鯱山 きんこざん

  • 岐阜市弥生町1
  • TEL.058-262-6555
  • 営業時間◇11:30~14:30、17:00~OS21:00
  • 定休日◇木曜日(祝日の場合は営業)
  • コメント:(0)件 | トラックバック:(0)

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