すぐ側にある良いもの、面白いもの、刺激的なもの。すぐ近くにある、幸せ。それに気付くことは、実は容易い。
心地よい暮らしを提案する雑貨の店『pand』と、カフェ『nakaniwa』を営む浅見亜津子さん。「離れてからも、ここが自分にとても近い存在で、大切な場所だと感じます」。名鉄岐阜駅の裏通り、元は生家があったこの一画。雰囲気や人通りが好きで、平成24年にはアンティーク家具&ギャラリーの『STENPORT』を開き、この路地は彼女にとって一段と特別になった。
佇まいに力があるものに惹かれるという浅見さん。全国各地に住む職人や作家の情熱が注がれた作品に惚れ込むと、実際に作り手のもとを訪れ、受けた感動を『pand』で伝えてきた。「でも、もっと一つひとつを掘り下げて、じっくり伝える空間がほしくなったんです」。
ここでは、食器やカトラリーをはじめ、オブジェや絵画、アクセサリーなど、日々に寄り添う作品を月ごとに展示する。「それぞれの方の世界観に染まれるように」と、白い壁と無垢材を敷き詰めた床の無機質なフロアは、訪れる度に印象ががらりと変わる。セレクトや陳列は作り手に一任。家具は、配置はもちろん、買い手が付くと入れ替わるため「本当に月ごとにライブな感じです」と楽しそう。何より浅見さん自身も、展示を企画することで馴染みの作家でも初めて知る深い部分があると言う。「内容が濃くなったので、また違った顔が見られるんです。話していても、作品を見ていても。それが今は嬉しい」。
“ギャラリー”という響きに気負うのは、実にもったいない。ここでは、使う楽しさや取り入れることの豊かさを、身近なもので教えてくれる。それは誰かにとっては、しっくり馴染むものかも知れないし、誰かはとても胸が熱くなるものかも知れない。あなたはここで作品とどう向き合い、何に気付くだろう。
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- 毎月変わる展覧会のDM。1月は裂き織りや手紡ぎで作る「Stoffa展」、2月は5回目を迎えたアンティーク店の「フェルメール展」、3月は特別に「トザキケイコ展」と靴の「AUTTAA展」の2つを開催
- 「ここで展示して良かったと言っていただけると嬉しい」と店主の浅見亜津子さん
- 3月に開かれた「トザキケイコ展」。自然素材を使った作品の中には壮大な世界の物語が作り出されている
- 作品にゆっくり没頭する人や、腰を下ろしてお茶を飲みながら語る人など、過ごし方はさまざま
- 外からも中の様子が見える大きな白いガラス扉。毎月違う店に入るようなワクワク感が楽しい
〈展覧会〉
- 4/1~30 アンティーク家具展
- 5月 インドのテキスタイル展
- 6月 アクセサリーの二人展
- 7月 沖澤康平展(ガラス)
STENPORT ステンポルト
- 岐阜市住ノ江町1-17
- TEL.058-264-0116
- 営業時間◇11:00~18:00
- 営業時間◇日曜日
- 駐車場◇あり
- URL◇http://www.pand-web.com/