店名のZUZUとは“豆豆”のこと。小豆、黒豆、ひよこ豆にレンズ豆…。いろんな豆を使った料理やスイーツが楽しめる『cafe ZUZU』。
店主の西垣早苗さんがこのカフェを始めたのは10年程前のこと。オープンに向けて構想を練っていると、亡き母の記憶が甦った。「身体が弱かった私に、よく豆料理を作ってくれたんです」。高タンパクで低カロリー、食物繊維も多いからと。やがて自分も母となり、冬は家族のためにストーブでコトコトと豆を煮た。そんな、素朴でヘルシーな豆料理を多くの人に食べてもらいたい。カフェのテーマを“豆”に決めた。
店では肉や魚は使わない。必然的に、旨みや甘み、コクなどは野菜や豆から引き出すことになる。カレーに使う北海道産のタマネギは、3時間近くじっくり炒めて甘みを出す。他の野菜やきのこ類も同様に、それぞれに合う方法で加熱することで味に深みを与える。乾燥豆は種類ごとに浸水や煮込みの時間を変えて、丁寧に戻す。こうした手間こそが、飽きのこない、もう一度食べたくなる料理を生む。「美味しかったと言ってくださるのが、一番の喜び。きれいに空っぽになった食器を見ると、本当に嬉しくて、ありがとうって思うの」。
昨年9月から約3カ月間、西垣さんは店のシャッターを下ろした。父の病気の看病と娘の出産、自身の体調不良も重なった。復帰すると、常連客から「再開してくれて良かった。ありがとう」と声を掛けられた。「人生もお店も、山あり谷あり。でも、ここがあって本当に良かった。これからもZUZUらしく、やっていくしかない、と思って」。
食後のおしゃべりに興じ、あるいは、ゆっくりとパフェを味わう客たち。「ちょっとひと休みに来たわ」と現れたおばあさんが、シフォンケーキを食べ、散歩に戻っていく。特別ではない、いつもの光景。ここは、まちの景色にそっと馴染む、素敵なカフェ。
Photo
- たっぷりの野菜に大小色とりどりの豆がごろごろ入ったサラダ。キャロットラぺなどの惣菜とスープ、スイーツ、ドリンク付き。メインはベーグルや焼きカレーなどから選べる。お豆の惣菜サラダのランチ/¥1,200(税込)
- 「おかげさまで、お客様と良いスタッフに恵まれてきました」と西垣さん(右)
- インテリアにフレンチカジュアルを取り入れたのは、岐阜のカフェでは先駆けだったそう。居心地が良い雰囲気に、つい長居をしてしまう
- 自家製スイーツのファンも多い。甘夏の酸味とバニラやはちみつの甘さが絶妙なパフェは、季節限定の3種類のうちの一つ。
- 店頭で焼き菓子も販売。甘夏のパフェ/¥650(税込)
- ちゃんと作るからこそ、料理の提供には時間がかかることも。のんびり、時間を気にせず訪れたい
カフェ&雑貨 cafe ZUZU ズズ
- 岐阜市美島町3-21-2
- TEL◇058-295-2019
- 営業時間◇9:30~OS18:00
- 定休日◇月曜日、第3日曜日
- 駐車場◇5台
- URL◇http://cafe-zuzu.main.jp/