柳ケ瀬にほど近い、落ち着いた雰囲気の町角にスマートな店がぽつんと現れる。コーヒーのテイクアウト専門店『BLITZ Coffee』だ。「多いと一日2回の方も。お年寄り、通勤や散歩途中の方、近所の店主さん、県外からも来てくださいます」。嬉しそうに、朗らかに話すのは店長の古宮山れんまさん。客を惹きつけるその中心は彼が熱心に淹れるコーヒー。単一農園の豆を使ったスペシャルティコーヒーをはじめ、豆の風味が立つラテなど、とびきりの一杯を出す。
開店は昨夏。建設業「株式会社ライフ」を営む長屋太志さんが地元の発展を願い、一日を豊かにする場所を作りたい、と縁のあった古着屋の跡地に店をプロデュース。店長に抜擢されたのが、学生の頃から好奇心のまま、全国の店や自宅などで多様なコーヒーを嗜んできた古宮山さんだ。
大学で造形を専攻していた彼のコーヒーは、ものづくりにも似た探究と、柔軟な感性からなる。新鮮な豆の個性が最大限発揮されるよう、挽き具合や湯の温度、落とし切る時間を丁寧に見極めてハンドドリップ。東京の焙煎士に依頼し、微細な風味まで追求したブレンドは、コロンビアの深いコクの中に、ブラジルやニカラグアの苦味や甘み、酸味が豊かに、絶妙に立ち現れ、独自性がありつつもどこか馴染み深い。「うちのは全て、苦味をしっかり感じる深煎り。“ザ・コーヒー”の味なんです」。微笑んで続けた。「昔から地域で愛される喫茶店の味を目指したくて」。
5坪の店内はいつも笑顔で溢れている。日常の空気を纏いコーヒーの芳香に満ちた空間にふらりと寄る客は、居合わせた者同士、ごく自然に天気や自身のこと、最近の町について会話を始める。一杯のコーヒーがあるからこその語らい。「コーヒーには、接点がない人同士をつなげる力もあって。それも魅力で面白いなって」。異なる世代や職業の人々が行き交う、地域の小さな交差点なのだ。
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- 「普段は出会わない方との交流が大好きです。みんなが豊かに過ごせるまちづくりの手助けができたら」。コーヒーの芳ばしい香りに包まれた店内は、素朴で誠実な古宮山さんの人柄もあって、気軽に立ち寄れる和やかな雰囲気
- 自家製あんバターサンドなども人気。オリジナルブレンド珈琲8oz/¥380(税込)
- 「本日のスペシャルティ珈琲」は毎週変わる。「酸味とフルーティさが特徴のエチオピアなど、少し個性的な豆も登場しますよ」
- ジンジャーミルクやオーガニック農法の紅茶なども好評。豆や茶葉、料理にも使えるジンジャーシロップの販売も行っている
- 鈍く光る焙煎したての豆。焙煎は信頼を置く同年代のロースターに依頼
- 白と黒をベースにしたスタイリッシュな店が十字路の角に立つ
テイクアウト&デリバリー BLITZ Coffee [ブリッツコーヒー]
- 岐阜市二番町6
- TEL◇058-201-2742
- 営業時間◇10:00〜19:00
- 年中無休(3月28日は休み)