海外キャラクターのフィギュア、アメリカンコミックのヒーローのグッズ。所狭しと雑貨やおもちゃが並ぶ賑やかな店内に、訪れた客は、「わあっ」と感嘆の声をあげる。神田町通りにある雑貨店『ボビンヘッド』だ。店主の石榑文貴さんは今日も、その様子を嬉しそうに見守る。
大学時代、雑貨店で見つけた頭が揺れる愉快なアメリカ製のおもちゃ「ボビンヘッド」に一目惚れ。それからアメリカ雑貨を集めるうちに、海を渡ってくる一つひとつには物語があることを知った。「当時の作り手によって顔つきやムードが違うんです。深く知るほど面白くて」。
卒業後は銀行に就職。外回りで地元の店主と話す機会が増え、生き生きとした表情を見ているうちに、「自分も岐阜で店を開きたい」と思うように。思い切って脱サラし、大手雑貨店に転職。発注や売り場作りを担当し、ノウハウを学んだ。そして平成25年、大好きな雑貨の店を構えた。
店作りの基準は“楽しんでもらえるか”。鮮やかな配色と遊び心たっぷりのアメリカ雑貨を主に、「アメコミ」や「映画」などテーマごとに分けられた売り場には、おもちゃが上から吊るされていたり、ミニカーに乗せられていたり。「おもちゃ箱を開けるみたいにワクワクしてほしい」と、楽しい仕掛けが隠された独創的なディスプレイで客を楽しませる。至るところにあるポップは雑貨に精通する石榑さんの手書き。「こいつ意外とすごいんだぞってことを伝えています」。読めば、くすっと笑える言葉遊びの中に、それぞれの背景が浮かび上がる。「来てくれた人を笑顔にしたいんです。難しそうな顔で入店されたご老人も、帰る時にほっこりした顔になっていたりすると嬉しくて。売れなくても、笑顔にさせる方が僕には重要(笑)」。
愉快な仕掛けと、新しい出会いが詰まった石榑さん特製の“おもちゃ箱”は今日も、誰かを笑顔にするのだ。
Photo
- 天井まで積み上げられた雑貨に圧倒される店内。「おもちゃ箱の中をイメージしているので歩きやすさは考慮できていません(笑)」。雑貨集めのきっかけとなったボビンヘッドは「日本では商品にしないようなユーモアのあるノリが好き」で、見つけ次第すぐに入荷するため壁一面に並ぶほどに。ボビンヘッド/¥1,900~
- 店主の石榑文貴さん。毎週入荷する新商品情報はツイッターやインスタグラムで配信
- ポップには、その雑貨のルーツや面白い使い方などが書き綴られている
- 鮮やかな彩度の幻想的な写真が撮れるオーストリア製のフィルムカメラ。石榑さんも10年以上愛用中。Lomography/¥5,675
- アメリカで昭和61年に販売。今では生産が終了しているプレミア品。マイペットモンスター/¥25,000
- 誰でも気軽に入りやすいように入口のドアは常に開放している
ボビンヘッド
- 岐阜市神田町6-16
- TEL◇058-269-4560
- 営業時間◇11:00~21:00
- 定休日◇水曜日
- URL◇http://bobin-head.com/