小部屋に分けられたクリエーターの店が集うやながせ倉庫。入り口からすぐ右の扉を開き、キシキシと音を鳴らしながら2階への階段を上がる。そこは102号室、70年代前後の古着を扱う「オルガン洋品店」だ。
壁際にずらりと並ぶ色とりどりの洋服。「独特な柄や鮮やかな色。まわりの目を引く個性的なアイテムが70年代前後のファッションの特徴ですね」と服を眺めながら微笑むりほさんは、夫のたかおさんと二人でこの店を営んでいる。
店を始めたきっかけは二人の古着好き。アパレル関係の仕事をしていたたかおさんの知人のつてで古着の仕入れを経験。フリーマーケットへの参加や自宅駐車場でのガレージセールで手応えと充実感を感じ、2002年に若者向けのショップが軒を連ねる玉宮町に店をオープン。さらに店の向かいにはアメカジやブランドの古着を扱う「GT」も開店した。しかし、売れ行きが好調なGTに対し、客足が伸びないオルガン洋品店。方向性と経営状態の違いにとまどいを感じたりほさんは、閉店を決意した。
「初心に返ってもう一度オルガン洋品店を始めよう!」そう声をかけたのはたかおさん。GTをたたみ、2年前に小さなやながせ倉庫の2階で二人の新たなスタートを切った。
「お客さんが店の服をかわいいと言ってくれることがうれしいです。でもお嫁に行くときは少し寂しくもなりますね。子どもを見守る親の気持ちみたいに」。丸一日かけても仕入れで手に入るのはやっと数着。古着の山から見つけた一着一着には、熱い思い入れがある。「この子たちが大切に着てもらえますように…」。そう願いながら、りほさんは今日も洋服たちにたっぷりの愛情を注いでいる。
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- アクセサリーショップとの共有スペースである1階にも古着が並ぶ。奥の小さな階段を上がって2階へ。ワンピース/¥1,995~
- レトロでポップな古着が目移りしそうなほど沢山あり、見ているだけで楽しくなる
- パンプスやブーツもありトータルでコーディネートできる。靴/¥1,995~
- シャツ、スカート、ワンピースなどカテゴリーを分けてディスプレイ
- 「個性的な服が着たくて古着に目覚めました。安くてこんなにもかわいいなんて!と驚きます」と笑うりほさん(写真右)。常連だったアルバイトの真美さん(写真左)は、やながせ倉庫の隣にある姉妹店「roy g vib」でも働いている
- やながせ倉庫の入り口を入ってすぐ右手の扉。大きな看板が目印
- ポーチや鞄などの小物作りにも最適。端切れ/¥525
オルガン洋品店[オルガンヨウヒンテン]
- 〒500-8831 岐阜市弥生町10 やながせ倉庫102号室
- TEL.058-265-5666
- 営業時間◇12:00~19:00
- 定休日◇水曜日
- http://blog.organ-time.com/