柳ケ瀬日ノ出町通りからすぐ、ツバメのマークが目印の店がある。昨年8月に開店した和菓子屋「ツバメヤ」だ。
オーナーは、近くでオーガニックカフェを営む岡田さや加さん。「柳ケ瀬には尊敬できる老舗が多く残っているのに新しい店が少ない。柳ケ瀬という存在のように、誰にでも親しまれるお店が必要だと思いました」。そこで思いついたのが、普通の和菓子屋ではなく、若い人にも受け入れられる店、そして自然素材にこだわった体に優しい和菓子。
そんな時、三重県で評判の和菓子屋「まっちん」の店主、町野仁英さんと出会う。食や農業に関心の高い彼が生み出す和菓子は、素材を大切にしたものばかり。「その姿勢や味わいは、私の理想そのものでした。まさに感動」。これ以上の人はいないと惚れ込んだ岡田さんは、早速スカウト。町野さんもその熱意に動かされ、ともに岐阜で店を開く決意をした。
町野さんの朝は早い。明け方3時から厨房に立ち、一人で和菓子作りに没頭する。看板商品「大地のどらやき」は、平飼いの有精卵、天然重曹、洗双糖、石臼で挽いた全粒粉で作るきめ細やかでもっちりとした生地が自慢。十勝産特別栽培小豆を上品に炊いた餡をはさんである。「まっちん」創業時から人気の「本わらび餅」も健在。奈良県産本わらび粉と奄美大島の洗双糖を丁寧に練り、丹波産京きな粉を大胆にまぶす。弾力がありながらとろけるように柔らかい驚きの食感だ。
それぞれ違う場所で活躍してきた二人が出会い、この地で思うのはただ一つ。「わざわざ柳ケ瀬にあるこの店に来てくれる方のために、最高の和菓子を届けたい」。信頼できる素材と確かな味、そして真っ直ぐとした信念。柳ケ瀬にまた、尊敬できる名店が誕生した。
Photo
- スタッフ4人が協力し合い、心のこもった和菓子を毎日作っている。左から川合さん、岡田さん、川瀬さん、町野さん
- 町野さんが長年かけてたどり着いた各地の厳選素材を使用
- 「手間がかかるから作るのは大変だけど、お菓子を通していろんな人と出会えるのがうれしいですね」と話す町野さん
- 全国各地から注文が舞い込む人気商品「本わらび餅」。たっぷりのきな粉の中から、ふわとろの餅を探すのはまるで宝探しのよう。本わらび餅/¥780
- 全粒粉の素朴な味わいが広がるしっとりとした生地の間に、十勝産小豆あんがたっぷり。大地のどらやき/¥158
- 三重県にいた頃から使っている道具たち。器材も製法も、すべてを持って岐阜へやって来た
- 木を基調としたナチュラルでいて上品な店構え。柳ケ瀬に新しい風を吹き込んでいる
ツバメヤ[ツバメヤ]
- 〒500-8876 岐阜市日ノ出町1-20 ロイヤルビル1F
- TEL.058-265-1278
- 営業時間◇9:00〜18:00(売り切れ次第閉店)
- 定休日◇月曜日
- http://tsubame-ya.jp/