素晴らしい映像と、幼稚なストーリー。
遊び心を忘れない大人のための映画。
ようこそ、あうん劇場へ!
この夏、全国の劇場で絶賛公開中のSF超大作『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』。この作品はシリーズ3作目。今回は、その人気を決定づけたシリーズ1作目『トランスフォーマー』をご紹介します。

中東のカタールで正体不明のヘリコプターが確認される。そのヘリコプターは突然巨大ロボットに変形し、米軍基地を壊滅させてしまう。かつてない事態に、アメリカ政府は敵の情報収集に奔走していた。
同じ頃、さえない高校生のサムは、ロボットに変形するパトカーに襲われる。その窮地を救ったのは、父親に買ってもらった中古車が変形したロボットだった。なんとサムの愛車は、宇宙からやって来た金属生命体だったのだ!
そしてサムは“キューブ”と呼ばれる謎の物体をめぐって、正義の戦士たち“オートボット”と宇宙征服を企む悪の軍団“ディセプティコン”との地球の未来をかけた壮絶な戦いに巻き込まれていく。
もともと「トランスフォーマー」とは80年代に発売された日本製の変身ロボット玩具。アメリカで人気を得て、逆輸入された日本でも大ヒット。『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』としてテレビアニメ化もされました。つまり、映画『トランスフォーマー』は子ども向けの玩具から生まれた映画なのです。
だからしょうがないと言えばしょうがないのですが、この映画、ストーリーがあまりに幼稚。車や飛行機に変身できる良いロボットと悪いロボットが地球で戦う、という物語は、まるで小学生が授業中に考えたかのような代物。勧善懲悪で単純明快。カッコ良さだけを考えて製作したからなのか、設定にかなりの無理があり、細かいことは気にせずどんどん話を進めるご都合主義によって成り立っています。子ども向けとはいえ、ちょっと酷すぎます。
それに対して桁違いに素晴らしいのが、最先端のCG技術を駆使した映像です。トラックや戦闘機が瞬時にロボットに変形する過程を1カットで描いた映像は圧巻の一言!その動きは重厚かつ滑らかで、たとえ猛スピードで走行しながらでも違和感なくロボットに変身。これまで私たちを唸らせてきた数々の映像技術を、すべて過去へと葬り去ってしまうほどの驚きと革新に満ちています。
そんな映画史を塗り替えてしまうほどの驚異の映像と、これまた映画史を塗り替えてしまうほど幼稚な物語。ひとつの映画の中に同居している両極端な二つの要素。そのギャップを楽しむのが大人の正しい鑑賞法です。また、最高のプロフェッショナルたちが集結し、子どもの頃の夢を実現させるために“情熱”と“お金”を惜しみなく注ぎ込んで完成させた本作は、実は遊び心を忘れない大人のための映画だと言えるのかもしれません。
私はこの映画を観て、自分がまだ幼い頃のことを思い出しました。トランスフォーマーはもちろん、ガンダムやゾイド、ミニ四駆にモデルガン、ヒーローの変身セット…。お気に入りのおもちゃに囲まれて、朝から晩まで無我夢中で遊んだものです。あの頃は自分の好きなことや楽しいと感じることに正直で、遊ぶことに一生懸命でした。そういった純粋な気持ちを、何歳になっても持ち続けたいものです。
バカバカしいことに全力投球できる大人。これって最高じゃないですか?
トランスフォーマー
- Transformers
- 2007年/アメリカ/144分
- 監督 マイケル・ベイ
- 出演 シャイア・ラブーフ/ミーガン・フォックス/タイリース・ギブソン/ジョン・タトゥーロ ほか










